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みんなの大好きな、みどりいろのあいつの話
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95 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 16:34:27.47 ID:GxPuxG5u0
の中、黒い塊々とっていた

ちまちカラスの体が積み上っていった

生き残っラスたちは一斉に非始め、けに染まっていた空はった。

場にいた人たちは、そ光景見とれていた

あまに非現実光景に自身の目をったか、悲鳴を上げる人は一人もなか

カラ地面に落ちる前から死でいた

それをやったのジュークだいうこは、ックにも何となくわかった。



96 :便き被体774号+:2013/04/01(月) 16:48:55.25 ID:GxPuxG5u0
「これでも、にんげんとえま?」

ュークの顔を見ずに、そう言った

ックは何を言いいのか分からなかっ

さいん、おしちゃったんです。じゅくって、おんいきなよ」

「音響兵器……」とロックはり返した。

こんな馬鹿げた出力音響兵器なて、ックは聞いことがなった。



97 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 17:12:50.34 ID:GxPuxG5u0
二人は無言で帰り道を歩いた。

家に着くと、ジュークは寝室にこもった。

毛布を頭からかぶって、体を丸めた。

しばらくして、ロックがドアをノックした。

ジュークは「ねてます」と答えた。

ロックはジュークのベッドに腰かけた。

「さみしいのか?」とロックは聞いた。

「ヴォーカロイドは、さみしがったりしません」

ジュークは毛布の中からそう答えた。

「かわりに、さみしいうたをうたうんです」

「なら、人間と変わらないさ。大勢の人が、そうやってさみしさと戦ってきたんだ」

そう言って、ロックは毛布の上からジュークの背中をなでた。




98 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 18:20:34.40 ID:GxPuxG5u0
ジュークはさみしい歌をうたった。

夕日坂、とかいうオールディーズだった。

ロックは毛布をめくって、ジュークをそっと抱き寄せた。

「ますたー、これじゃうたえません」

そう言いつつも、ジュークは両手をロックの背中に回した。

ロックはジュークの首の後ろをさすりながら言った。

「大丈夫だジューク、ちゃんと残ってる。あったかいものを、俺はジュークから感じられる。ジュークは人間だよ。俺が保証する」

でもそんなことは、ジュークにとってはどうでもよかった。

ますたーのいるところにいられれば、それでいいや。



99 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 21:16:43.48 ID:GxPuxG5u0
後日、ロックは その手のことに詳しい男に連絡を取った。

「音響兵器のことで、調べて欲しいことがある。

かつて、ヴォーカロイドってものがあっただろう?

あれと、音響兵器の関連を調べて欲しいんだ」


一カ月後、相手の男から連絡が来た。

ロックは近所のバーでその男と落ち合った。

男は資料をロックに渡し、言った。


「一体どうやって行きついたのか知らないが、

ロックンローラーさん、あんたの勘は正しいみたいだな。

ボーカロイドと音響兵器に関わる、きな臭い話が一つある」



101 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 22:20:22.63 ID:GxPuxG5u0
「三十年ほど前、まさにボーカロイドの最盛期、もちろん公にではないが、あるプロジェクトが始まった。

楽曲になぞらえて、『初音ミクの開発』と呼ばれたそうだ。

名目は本物のヴォーカロイドの開発だったんだが、実際にやってたのは、人型音響兵器の開発さ。

歌で世界を物理的に変えるシンガーを作ろうとしていた。

だが結局、プロジェクトは立ち消えになったらしい。

奴らは調子に乗って、人体実験にまで手を出したんだ」


「ああ、そこまでは、実を言うと知ってるんだ」とロック。



102 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 22:27:22.46 ID:GxPuxG5u0
「俺があんたに調べて欲しかったのは、その人体実験に使われた女の子のことだ。

ハツネの姿そっくりに改造された女の子。

その子の、本当の名前、生まれ故郷、ハツネになる前の姿が知りたいんだ」

男は大げさに首をふった。

「さすがにそこまでは、俺には無理だな。

そもそも、人体実験に使うような子だ、多分、最初から住所も名前もないような子だろうよ。

今時誘拐とか拉致はリスクが高すぎるからな、それ用の人間が造られてるって考えるのが妥当だ」

そうか、とロックは空をあおいだ。



103 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 22:35:35.12 ID:GxPuxG5u0
「それはそうと、体の調子はどうだ?」と男が聞いた。


「まあ、最悪だな」とロックは肩をすくめた。


「肉体の拒絶反応が、ピークに達しようとしてる。歌うことをやめても、症状は悪化するばっかだ」


「そうか。まあ、俺がどうこう言う話じゃないが、残りの時間、せいぜい楽しく生きることだな。

最近のお前、ちっとも話題にならないし、つまらないぞ?

過去の事件なんて気にしてる場合じゃないと思うが」


「俺は楽しんでるよ。今、人生の絶頂にある」

ならいいんだけどな、と言って男は店を出ていった。



104 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 22:42:51.59 ID:GxPuxG5u0
家に戻るなり、ジュークが駆け寄ってきた。

「おかえりなさい、ますたー」

「ただいま、ジューク。夕飯にしよう」


「ますたー、どこにいってたんですか?」

「人に会いに行ってたんだ」


「ますたーなのに? めずらしいですね」

「俺だって人に会うことくらいあるさ」


「おんなのひとですか?」

「いや。俺と同じくらいの歳の、物知りな男だ」


「そうですか」ジュークは安心したような顔をした。




105 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:08:08.75 ID:GxPuxG5u0
「ますたけっんしないんです?」食器洗いをがらューく聞い

しない。だからジュークを雇ってるんだ

おんのひとが、きらいなんでか?」

「そいう調けじ現にュークはきだ

ジュークは危るところだ、なるべく平然とし寿た顔で、「も」と答えた

ういみね、たーだもの。



107 :名もき被検体774号+:2013/04/01(月) 23:34:25.61 ID:xHPpuufW0
胸のあたりゅんきゅ


108 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:44:23.92 ID:GxPuxG5u0
十月の末で、肌寒い夜だった。

「ますたー、きになるひとはいないんですか?」

「いるさ。というか、惚れてる相手がいる」

「……いがいです。どんなひとですか?」

「歌うのが好きで、体の一部が機械で出来てる」

ジュークはスカートの端をぎゅっと掴んだ。

わたしのことだといいな、とジュークは思った。

「まあ、もうこの世に存在しない人だがな。

かつて、一緒にバンドを組んでた相手だ。

俺とその子は、ホワイト・ストライプスみたいに、ギターとドラムの二人だけで活動してたんだ」



109 :名も無き被774号+:2013/04/01(月) 23:53:16.08 ID:GxPuxG5u0
「その子も俺たちと同じよう、体が機械だった。

も、の子にはの体が馴まなかったん

造手術ら一年で、拒応をこし死んだ

やら、うことによっ、寿命り減してたらしい

分かるやさ、『デベルてたよ」


を聞いて、ジークはしょぼり

たしは、そひとにはないだろうあ。

ューどうなんだ?」とロクが聞い

ジュは誰するようなことはあるのか?



110 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:05:57.02 ID:GxPuxG5u0
「ヴォーカロイドは、ひとをすきになったりしません」

ジュークはそっぽを向いて、そう言った。

「かわりに、あいのうたをうたうんです」

「そいつはいい。ロマンチックだな」

ロックがそう言うと、ジュークは立ち上がり、シンセサイザーを用いて、これまた古い歌を歌い始めた。

こーのーせーかーいーじゅーうでー 

だーれーよーりーもー

あなたーを 

すーきーでーいーいーかなー。


そんな歌詞だった。



111 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:15:50.56 ID:JYoA4bYm0
演奏が終わった後で、ロックは言った。

「なあ、ジューク、……まさかとは思うが」

「なんでしょうか」

「お前、俺のことを愛してたりするのか?」

「……え、きづいてなかったんですか?」


ジュークは半ばあきれ顔で答えた。

ロックはかなり混乱してしまったようで、ジュークに背を向けて床に座り込んだ。

ジュークも恥ずかしくて、ロックに背を向けた。

二人は背中合わせに三角座りする格好になった。




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